日本尊厳死協会へようこそ

一般社団法人 日本尊厳死協会理事長

井 形 昭 弘

 日本尊厳死協会は昭和51年に発足し、現在会員数は12万5千名を超えております。今日、医学、医療の進歩により長寿社会が実現しましたが、人間はいつかは必ず死を迎えます。
 医学がいかに進歩しても不治・末期は厳存しており、そこでは進歩した延命措置がかえって患者に苦痛を与え、尊厳ある生を冒す場面が多く見られるようになりました。
 この背景を受けて、不治・末期や回復不能の植物状態などでは無意味な延命措置を拒否する尊厳死運動が世界各国で生まれました。

 尊厳死とは自然死と同義で、積極的な方法で死期を早める安楽死とは根本的に異なり、自分の死に様を自分で決定しようとする自己決定権を求める運動、つまり広い意味での人権運動の一つでもあります。

 協会は、現在、自己決定権に基づく本人意思の尊重と医師の免責保障を求め、尊厳死法制化に取り組んでいますが、どうか一人でも多くの方が尊厳死を理解し、われわれの運動に参加して下さることをお待ちしております。

              
  

理事長 井形昭弘の略歴
 1928年   静岡県出身
 1954年   東京大学医学部卒
 1971年   鹿児島大学医学部教授
 1987年   同 学長
 1993年   国立中部病院長
 1997年   あいち健康の森・健康科学総合センター長
 2002年〜  名古屋学芸大学学長
 2002年〜  日本尊厳死協会理事長
 現住所:愛知県

                          趣意書

 日本尊厳死協会は、1976年の創設以来、健やかに生き、安らかに死ぬ権利を求める「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を発行し、尊厳死思想の普及に取り組んでいます。
 わが国は世界一の長寿国になりました。物品両面の豊かさと、医療技術の進歩、整った医療保険制度が長寿国を築き上げてきたといえましょう。しかし、健康である私たちもいつの日か病気がすすみ、あるいは不慮の出来事から人生最期の医療を受けることになります。その終末期で安らかな死を願っていても、残念ながら不本意な最期を迎えることもあります。このことは延命至上を医師の務めとする考えや医学・医療技術の進歩、あるいは死の過程に対する社会的ルールが確立されていないことにより、家族や医師が判断できずに患者本人の意に反する過剰な延命治療が施される事態を招いているからです。
 安らかな死ということは、人生の最期の時までいかに自分らしく、健やかに生きるかということです。最期の生き方は誰からも強制されるものではなく、自己決定権の思想に基づく自らの選択が重視されるべきです。医療措置選択の意思を尊重することは、人権尊重にもつながります。その実現のため、元気なうちに「不治かつ末期では、延命治療や措置を断る」ことをはっきり意思表示し、医師にも伝わるようにした文書が「尊厳死の宣言書」です。
 こうした権利に理解が深まり「宣言書」をもつ人々は増えています。協会の活動は、尊厳死が保障される社会をつくる運動の歴史でもあります。そして私たちはいま、リビング・ウイルの普及とともに、それを受け入れる社会環境を整えようと尊厳死法制化運動に力を入れています。
 協会は長年の念願がかない2010年4月に法人格を取得し、一般社団法人として透明性の高い運営とより活発な社会へ向けての発信で尊厳死運動を推進しています。